吉田副会長がラジオJ-WAVEの番組に出演、2020年「展示会場問題」を熱く語る

2020年  五輪倒産が続出!?

 「東京ビッグサイト問題」 の本質を吉田副会長が熱く語る

2017年7月17日 (月) 、FMラジオ局J-WAVEのニュース情報番組 「JAM THE WORLD」 内のコーナー 「ブレークスルー」 にて、 「東京ビッグサイト問題」 が取り上げられ、日展協 吉田守克副会長がゲスト出演しました。ナビゲーターは、新進気鋭のジャーナリスト、津田大介氏が務めました。番組の詳しい内容を、以下、ご紹介します。

オリンピックの裏に潜む 「東京ビッグサイト問題」 とは?

【ナビゲーター 津田氏 (以下:津田) 】
津田大介がナビゲートしているJ-WAVE  「JAM THE WORLD 」 。続いては 「ブレークスルー」 のコーナーです。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックまであと3年となった訳ですけれども、実は 「五輪特需」 どころか 「五輪倒産」 が続出するのではという話があるのを、皆さんはご存じでしょうか。いわゆる 「東京ビッグサイト問題」 と言われているもので、このまま有効な手を打たずにオリンピックを開催すると、中小企業の倒産が続出する可能性があるというのです。一体どういうことなのでしょうか。そこで今夜はこの方をスタジオにお招きしてお話を伺います。一般社団法人 日本展示会協会 副会長の吉田守克さんです。吉田さんこんばんは、よろしくお願いします。

【吉田副会長 (以下:吉田) 】
よろしくお願いします。

【津田】
この東京ビッグサイト問題、 「え!そんな問題あるの?いったい何?」 と初めて聞いた方も多いと思いますが、まず簡単にどんな問題か教えて頂けますか。

【吉田】
はい。2年後の2019年4月から2020年11月までの20か月間、東京ビッグサイトがオリンピックのメディアセンターとして使われる計画によって、数多くの展示会が縮小や中止になる恐れが出ているという問題です。特に2020年5月からの5か月間は、全面閉鎖されてしまいます。本来、オリンピックによって日本経済は活性化するはずです。しかし、それどころか現在の経済活動を阻害する可能性が極めて高い深刻な問題、それがビッグサイト問題です。

【津田】
そうですよね、これは確かにあまり知られてはいないですけれども、一部の人には 「コミケ問題」 と言われていますよね。ビッグサイトが、オリンピックのメディアセンターとして使われるため、展示会場として使えなくなる、そうなれば 「毎年何十万人も集まるコミケはどうするのだ」 という話になりますが、コミケだけの話ではありません。かなり長い間、ビッグサイトで展示会などが開催できなくなってしまう訳です。不思議なのが、ビッグサイトがメディアセンター、つまりは報道陣が沢山集まって報道する拠点になるということです。

【吉田】
正確に申し上げると、メディアセンターとは、テレビ等が集まる国際放送センターと、新聞・雑誌等が集まるメインプレスセンター、この2つです。

【津田】
ビッグサイトは日本最大の展示会場ですが、パッと聞くと 「プレスセンターって、そんなに大きな会場が必要なの?」 と、思いますけども、このあたりはどうですか。

【吉田】
前回の東京オリンピックが行われたようなアナログ放送とは違って、今は完全デジタル放送で、かつ多言語で同時放送しなくてはいけないという中では、約2万人というものすごい数のメディアの人が出入りするということで、ロンドンオリンピックでも大体10万平米近くの場所を確保していました。

【津田】
なるほど。メディアセンターというのは確かに大きなものを、しかも色々な競技会場にアクセスが良いところに用意しなければいけないということで、ビッグサイトが使われることになったのですね。しかし、問題はそれによって、ビッグサイトのような、いつ行ってもなんらかのイベントをやっている場所が閉鎖されてしまう危険があるということですけれども、そもそも日本最大のコンベンションセンターでもある東京ビッグサイトで、年間どれくらいの展示会が開かれているのでしょうか。

【吉田】
ビッグサイトはフル稼働になっておりまして、年間300本開かれています。単純計算で、20か月間の閉鎖では、500本以上の展示会やイベントが縮小開催か中止を余儀なくされます。ビッグサイトは、9万6千平米あるのですが、これに対し利用制約を受ける20か月間の平均の利用可能面積は35%に激減します。東京都は、1.5キロ先の青海という場所に仮設展示場を建設すると決めていますが、これを含めても、単純計算で54%の面積しかありません。

【津田】
つまり、オリンピックのメディアセンターはビッグサイトの全部を使う訳では無くて、一部を使うということなのでしょうか。

【吉田】
利用制約を受ける20か月の間に、7割使えたり、5割使えたり、全く使えなかったりします。

【津田】
なるほど。つまり、いずれにせよ今までなら普通に会場として使えていたものが、同じ規模では出来なくなってくるということですね。状況は非常によく分かりました。ここから今日の本題でもある、 「中小企業はそれによって倒産する」 ということですけれども、中小企業にとって 「東京ビッグサイト問題」 、これが死活問題になるというのはどういうことでしょうか。

【吉田】
お答えする前に、まず誤解が無いように申し上げておくと、我々は決してオリンピックそのものに反対している訳ではありません。むしろ日本の先端技術とか優れた品質や文化、これを国際的にも発信する素晴らしいチャンスだという風に考えております。

【津田】
東京オリンピックに訪れた人たちが、まさにその中小企業の技術を見ることが、日本のソフトパワーの発信にも繋がるということですからね。

【吉田】
それなのに、ビッグサイトが20か月も利用制限されることは、果たして日本の国益にとって得策なのかということです。

【津田】
その前提を踏まえた上で、中小企業にとって展示会がなくなることが死活問題というのは、どういうことなのでしょうか。

【吉田】
日本の企業の99.7%が中小企業なのですが、今回のケースでいうと、展示会に出展する側の中小企業、それからそこで装飾とか色んなことを行っている電気工事とか装飾、印刷、警備、清掃、こういった展示会の支援企業も中小企業です。こういう所に、ものすごい影響が起こります。その理由は、中小企業というのは営業とか宣伝に莫大な費用をかけられないからです。当然営業マンの雇用を維持するのも大変です。従って、展示会という販売手段、それによって新規顧客を開拓しているのです。

【津田】
技術力はあるけれども小さい企業なのでテレビCMを打つお金がない、そういうところは展示会に出れば数万、数十万円くらいでブースを借りて営業できる訳ですよね。

【吉田】
はい。展示会は自社の製品をアピールする絶好の場です。また、業界動向とか競合他社の技術力の調査とか、色々な意義がある訳です。

【津田】
なるほど。展示会というのは、技術とか新商品のデモンストレーションの場所でもあるのでしょうけど、椅子と机が並べて商談をしているところもあって、そこで話している姿も見ますが、 「本当にあそこで商談はまとまるのかな?」 と展示会を取材する立場では思っていたのですが、この辺はどうなのでしょうか。

【吉田】
かなり皆さん真剣に出展し、来場されています。特にB to Bの場合は 「来場者=バイヤー」 ということで、買い付けに来られています。何か良い製品はないか、商品はないか、サービスはないかということで、皆さん真剣にそこを見て、展示会が成り立っている訳です。もともと日本の展示会というのは、業界団体の主催などが殆どで、商談はあまり行われていませんでしたが、ここ10年20年のうちに、丁度ビッグサイトが20年前にできた頃からですが、B to Bの商談型見本市が非常に増えてきました。

【津田】
展示会というのは、単純に展示品を見るというのが日本の文化的な土壌だったのが、この10年は展示を見るだけでなく、商談をする場所に、いわゆるトレードショーに変わりつつあるということですね。そこはビジネスチャンスにも繋がってきたし、それを加速したのがビッグサイトの誕生でもあったということなのですね。

【吉田】
はい。ビッグサイト自身も、シンクタンクの野村総合研究所を使って、出展社による展示会場での売上げを、年間2.7兆円と発表しているのですが、これを元に計算すると、ビッグサイトが全面閉鎖される2020年の5か月間に限っても、例年出展している4万1,000社のうち3万7,000社が出展できなくなってしまって、およそ1兆125億円位の売上げを失ってしまうのです。

【津田】
展示会に出展する企業だけでは無くて、先ほど吉田さんがおっしゃったように装飾や電気工事だったり印刷、警備等、そういったところも当然売上げ減になる訳ですよね。5か月間でも1兆125億円とすると、20か月間ではさらに被害が大きくなるということですね。

【吉田】
そうですね。展示会の支援企業も約1千社であり、およそ1千134億の売上げを失うと試算しております。先ほど言いました通り、20か月間の利用可能面積が54%ですから、通常のほぼ半分ですね。ですから、売上げも通常の約半分になるということです。売上げが半減すると、やはり中小企業は倒産の可能性が相当出てきてしまいます。

【津田】
例えば、ビッグサイトの半分しか使えないから、 「この年だけは縮小して、例年の半分の規模でやりましょう」 ということになると、当然出展スペースには限りがありますから、大きな企業しか出展できないということになるのでしょうか。

【吉田】
やはり、大手がおさえてしまったら、出展できなくなる中小企業が増えてしまう、ということも起こると思います。

【津田】
多分、その話を聞いたリスナーの中には 「ビッグサイトが使えないなら、他の場所でやればいいんじゃないか」 という声も聞こえてきそうな気もするのですが、この辺はどう考えれば良いのでしょうか。

【吉田】
今の質問はよく伺う質問ですが、元々日本は慢性的に展示会場が不足しておりまして、首都圏はおろか、日本全国に代替会場がない状況です。

【津田】
パッと思いついても首都圏ではビッグサイトか、幕張メッセしかないですよね。

【吉田】
実は幕張メッセも、オリンピックのアーチェリー等3競技で使用されるので使えないのです。

【津田】
そうか。幕張メッセもオリンピックで影響があるのですね。

【吉田】
先ほど申し上げたように、オリンピック開催期間中の5か月間は、東京ビッグサイトも幕張メッセも全く使えないという事で、ダブルパンチとなります。

【津田】
つまり、東京ビッグサイトというのは、物凄くひっきりなしに使われている会場で、大成功している施設とも言える訳ですね。

【吉田】
今、ビッグサイトの稼働率が75%くらいだと把握しておりますけれども、この75%はジグゾーパズルのように各展示会を隙間なく調整した状態であり、ほぼフル稼働といって良い状況です。一方、海外では3割以上の稼働率があれば、展示会場を新設するのが常識です。

【津田】
 「大成功している」 と言うぐらい、実は日本には展示会場が足りなかったという事でもある訳でしょうが、そういう意味では、 「新しい展示会場が東京圏に必要じゃないか」 という動きはないのでしょうか。

【吉田】
我々協会側としても色々ロビー活動をしていますが、実態を簡単に申し上げると、日本の展示会場総面積が35万平米、これはアメリカの20分の1、中国の15分の1、日本と国土面積がほぼ同じドイツの10分の1です。

【津田】
それぐらいコンベンションセンター、いわゆる展示会場というのが日本は少ない国だったということなのですね。

【吉田】
その少ない中で、更に今回のこの 「ビッグサイト問題」 が起こってしまっているという状況です。

【津田】
そこまで問題が発生しているなら 「メディアセンターを別の場所に移せばいいじゃないか」 なんていう議論があっても良さそうなものですけど、メディアセンターというのも最初は本決まりでは無かったという経緯があったと思いますが、いつの間にかビッグサイトを使うことになったという…この辺も不透明なところがありますよね。

【吉田】
意思決定は非常に不透明で、結論から申しあげると、既存施設を利用したほうがコンパクトなオリンピックになるという事で、これをアピールした結果、 「ビッグサイト問題」 がすっぽり抜け落ちたのです。

【津田】
 「すでにここにビッグサイトがあるから」 ということで、招致段階で 「まぁ後で考えればいいか」 みたいになった可能性があるということですね。

【吉田】
実は築地市場の豊洲移転問題と密接な関係がありまして、2008年の 「2016年東京オリンピック招致立候補ファイル」 、その中では、メディアセンターは豊洲移転後の築地市場の跡地に新設するという計画だった訳ですね。結果、皆さんご存知の通り、2016年の東京オリンピックは落選しました。その後、2020年の計画を再度出した時の招致計画では、豊洲の土壌汚染問題で移転が遅れてしまったこと、なおかつ 「環境に優しいコンパクトな五輪」 ということで、 「築地の跡地が使えないのであればビッグサイトを使おう!」 という短絡的な考え方で、議会の決議も何もなしに決まってしまったと聞いております。

【津田】
つまり、 「メディアセンターにしますよ」 ということに対して、日本展示会協会に事前に相談があった訳ではないのですね。

【吉田】
全く無かったですね。

【津田】
 「ビッグサイトにして大丈夫?」 みたいな問い合わせがあれば、もう少し色んな折衷案とか解決策が考えられた可能性があると思いますが…。

【吉田】
非常に語弊があるのですが…逆に築地市場の方々が豊洲という移転先があってうらやましいくらいです。

【津田】
これはなかなか深刻な問題であるということが色々分かってきました。後半も更に伺っていきたいと思います。

被害は甚大! 「東京ビッグサイト問題」 の解決策とは?

【津田】
後半もよろしくお願いします。
これだけ反発がある訳ですけれども、実際に出展社、支援企業の売上げが下がるということがありますが、これが20か月間に渡り、フルのスペックで使えない状況になった時に、他にはどんな弊害が考えられますか。

【吉田】
予測の段階ですけども、当然、ビッグサイトでは色んな催事をやっています。学生さんと企業が出逢う場である就活セミナーとかですね。また、先ほど津田さんがおっしゃったコミケの問題とか。元々日本のサブカルチャーというか、もはやメインカルチャーと言っていいような、漫画やアニメの世界…最近はクールジャパンと銘打って大々的に宣伝していますが、彼らを育てる様な土壌がコミケにある訳です。それも開催ができなくなるという問題があります。

【津田】
就職セミナーとか、そういう場所が使えなくなるのは、今の学生さんにとっては結構影響がある話ですね。とにかく、ビッグサイトは相当先まで予約が埋まっていると聞きますが、本当にパンパンな状況なのですね。

【吉田】
我々業界の実感からすると、なかなか簡単に日程を移動できない、スケジュールを変えられない、そのくらい稼働率が上に張り付いている状態だと思います。

【津田】
今回の都議選で都民ファーストの会、すごく沢山政策がある中で、実は、いわゆる「コミケ問題」の解決が政策書の中に入っていました。これは要するに「東京ビッグサイト問題」ということなのですが、 「東京ビッグサイト問題」 のきちんとした解消というのが一応、政策のアジェンダには入っています。実際には、都民ファーストの会は 「解消する」 というところまでしか触れていないので、実際にどういった対策を講じるか分かりませんが、この辺の情報共有はされていますか?

【吉田】
具体的な情報共有はまだありません。この問題に対し東京都は、仮設展示場の建設を決定してくれています。しかし、この仮設展示場は、ビッグサイトから1.5q離れた遠い場所にあるので、ビッグサイトとの一体利用が難しいのです。

【津田】
それは難しいですね。1.5qと言ったらだいたい20分くらい歩かないといけない訳ですから。

【吉田】
面積的にも2万3千平米しかなく、ビッグサイトの4分の1程度です。しかも、出展製品を搬入するためのトラックヤードや、来場者の待機スペースといった、展示会場に不可欠な要素もなく、非常に厳しい条件であります。

【津田】
なるほど。幕張メッセと千葉マリンスタジアムぐらいの近さであれば良いでしょうけど、ちょっと、キツイ感じがしますよね。
でも逆を言えば、東京都の対策としては、今、その仮設展示場をつくるというぐらいしか提示していない、という状況ですよね?

【吉田】
はい。

【津田】 
なるほど…。とは言っても、オリンピックというのは50年に1度、次いつ日本に来るか分からないような、国家的な大イベントな訳ですから、 「その20か月だけ我慢してよ」 「年に1回のイベントなら、その1回ぐらい出来なくたって良いじゃないか」 と、政治の方からの声も聞こえてきそうな気もしますが、そのあたりはどのように考えれば良いですか?

【吉田】
それもよく言われることですが、官公庁・政治家・一般の方々も含めて大きな誤解がありまして、 「展示会はそもそもどこでも開催できる一過性のお祭りじゃないか」 と。また、 「東京が無理ならば地方でやれば良いじゃないか」 と。こういったことを言われるのですが、いずれも全くの誤解です。展示会は何千社という出展社と、何万人というバイヤーが取引を行う巨大な市場なのです。築地市場と全く同じです。もし、 「オリンピックを開催するから、築地市場を20か月間閉鎖する」 となったら、大問題になります。それと同じことが、今、起きようとしているのです。大阪や名古屋など、地方の展示会場も、残念ながら予約でいっぱいであり、規模も小さいため、代替会場にはなりえないのです。ちなみに、ビッグサイトは日本最大の展示会場で、フル稼働ですが、世界的に見れば68番目という小ささなのです。

【津田】
つまり、それだけ、日本は展示会場貧国なのですね。

【吉田】
ビッグサイトは開設して20年になるのですが、20年前とビジネスモデルが大きく変わってきておりまして。展示会で商談をするということが、だいぶ定着してきた訳ですね。先ほど申し上げたように、業界団体主催の展示会というよりも、むしろB to Bのトレードショーが増えてきている。この中で、どんどん稼働が上がっているにも関わらず、需要も溢れているにも関わらず、肝心の展示会場がないということで、かなりの機会損失を生んでいる訳ですね。

【津田】
なるほど。パッと思い浮かぶのは、幕張メッセとビッグサイトなのですが、埼玉とか、横浜とかには同等の規模のものはないのでしょうか?

【吉田】
パシフィコ横浜でも2万平米しかありませんし、横浜アリーナも1万平米くらいです。日本で、ビッグサイトと同規模の展示会場となると、7万平米のインテックス大阪しかありません。これも多くの人が知らない事実です。

【津田】
そうするとビッグサイト全館を使用しているイベントよりも、相当規模を縮小しないと出来なくなってしまう、ということですね。
なるほど…。例えば、 「そうは言っても会場がないのだから、縮小して開催するしかないでしょ」 と言われた場合、やる側としては、どのあたりで頭を抱えてしまうのでしょうか?

【吉田】
まず、展示会の規模が大幅に縮小されてしまうと、出展社数が大幅に減りますよね?当然バイヤーである来場者も減るのは明らかなので、結局、出展社からキャンセルが増え、中止に追い込まれてしまいます。その理由としては、特にB to Bトレードショーの場合、バイヤーは大規模な展示会で効率良く商談を進めたいので、小規模な展示会とか見本市を敬遠するのですね。効率良く回ることが重要な訳ですから。バイヤーを呼べない展示会は、当然、出展社もメリットがないので、出展を見合わせてしまう。そうすると主催者も、 「出展社が来ないなら中止しようか」 となる。出展社は最悪、中国・韓国・台湾など海外の大規模展示会に流れてしまう。そういう傾向は、すでに出始めています。

【津田】
なるほど…ようやく、こうやってビッグサイトができて、東京でも国際展示会やトレードショーが開催出来るようになって、盛り上がりつつあったところに、凄く水を差すようなことになる訳ですね。
そもそも、日本に展示会場が不足していることや、この20年で展示会が 「展示品を見るだけのもの」 からどんどん 「トレードショー」 になり、経済効果含めて良い影響が大きくなっていることを、世間できちんと認識されていないことが、背景にありそうな気がしてきましたね。

【吉田】
おっしゃる通りですね。

【津田】
もう一つ、疑問としてあるのは、 「時期をずらすことは出来ないのか」 ということ。しかし、これもまた、会場は予約でいっぱい埋まっている、といった問題になってくるのですね。
僕なんかだと、よく行くのは 「ブックフェア」 とか、 「この時期ならこれやっているなぁ」 というものに行くことが多いですけど。ところで、 「この展示会は、この時期」 というのは、なんとなく決まっているものですか?予約というか…早いもの勝ちという訳ではないですよね?

【吉田】
はい。展示会のスケジュールは、各展示会の主催者の希望を受け、会場側が調整して決めています。ビッグサイトはフル稼働なので、なかなか主催者の希望通りの日程では決まりません。そして、一旦スケジュールが決まると、毎年、同時期に開催され続けます。出展社は年間の営業スケジュールの中に、 「この時期の展示会に出展する」 という計画を織り込んでいますから、この意味でも日程移動は簡単にはいかない訳です。

【津田】
なるほど…ここまでお話しを伺ってきて、やはり、思った以上に深刻な問題であると見えてきた訳ですけれども、吉田さん、そして日本展示会協会が考えている根本的な解決策、政治的にはこのようにやって欲しい、というのはどういうものでしょうか?

【吉田】
日本展示会協会の公式声明文で出している第一案としては、ビッグサイトと同規模の仮設展示場を首都圏に建設していただきたい、ということ。ベターな案として第二案は、メディアセンターをビッグサイト以外に新設していただけないか、ということ。こうすれば、全て片付きますから。

【津田】
どう考えても二案の方が、合理的な気がしますけどね。

【吉田】
さらにベストプランは、その二案に対して、オリンピック終了後は、そのメディアセンターを展示会場に転用できる。

【津田】
おぉー!そうすると、展示会場不足が緩和されるということですね。

【吉田】
そうなればベストです。2015年、ロンドンオリンピック後の現地を視察したのですが、ロンドンでは、東部にある産業革命時代の重工業地帯、そこの汚染地帯に10万平米のメディアセンターを建てました。そして、オリンピック後にオフィスビルなどに転用し、成功しています。ロンドンは、非常に良い事例な訳ですね。

【津田】
なるほど。そういう先行事例があるのなら、それに学べば良いじゃないか、ということですね。
ちなみに、仮設展示場をつくるにしても、メディアセンターを新設するにしても、都内で、ある程度アクセスの良い場所に大きな土地が必要になってきますが、 「この辺がいいのではないか」 と、あたりをつけている場所はあるのでしょうか?

【吉田】
羽田空港の周辺とか、特に国有地で、大田区に払い下げたようなものだとか、探せば色々あると思います。多少の足の不便は、最悪、バスでピストン輸送するとか、何とか解決できるのではないか、とも思っております。 

【津田】
東京でも、特に湾岸エリアであれば、意外とまだまだ場所はあるのではないか、ということですね。
経済の話に戻りますが、抜本的に解決しないまま進んでいくと、たかが20か月のことが、日本経済全体に大きな影響を与えるのではないか、と思いますが、一番懸念されていることは、どのあたりでしょうか?

【吉田】
我々が一番恐れているのは時間切れです。日本経済を支える中小企業をかなり疲弊させてしまって、東京都や国に甚大な経済被害をもたらすのではないか、と。先ほど申し上げたように、展示会による出展社の売上げは年間2.7兆円あります。よって、被害総額が非常に大きい。オリンピックの経費を色々削減している努力は当然認めるのですが、それをやっても1兆円以上の売上を消滅させたら…。

【津田】
削減したって言っても、数10億円とか、どんなにいっても200億円とかの世界ですからね。
もともとビッグサイトがメディアセンターとして決められた経緯だって、コンパクトなもので安く済ませるためのプランとして出された訳であって…まあ言ってしまえば、今だって、あのプラン通りになんて全然いっていないですからね。

【吉田】
そうですね。ビッグサイトをメディアセンターに改造して、また展示会場に回復させて、なおかつ仮設展示場まで建てて…都民の税金をどうしてくれるのだ、と。一都民としての憤りでもある訳で。

【津田】
だいぶ、無駄なことをしている感じですよね。招致の時に、適当なプランを作ってしまったが故の制約が、こういう風になっている訳で。 「こういう事情があるので、別の場所をメディアセンターとして仮設で建設しても良いですか?」 というので、良さそうな気もしますけどね。でも、東京都が招致をしているけれども、オリンピックは国も関わってくるから…どうでしょう?東京都だけじゃなくて、国が何か出来ることってあるのですかね?この問題に対して。

【吉田】
例えば、中国では国策で、国家会展中心という、虹橋(ホンチャオ)地区にハノーバークラスの大きな展示会場を作りましたので、日本も国として出来ることはあると思います。但し、日本の場合、展示会場を地方自治体に任せてきた部分があったのは事実です。従って、我々は今後、国と地方自治体の双方に、色々な陳情も含めてアプローチしていかなければいけないな、と考えております。

【津田】
幸か不幸か、都民ファーストの会がこれだけ勝って、政治的影響力は首長と議会が一緒の勢力な訳ですから、そこでの意思決定は早く進むかもしれないので、ロビー活動もしやすくなったかもしれないのですが。もう一つ最後に、メディアセンターにしても、展示会場にしても、仮設でつくるというのは、結構コストを安く、迅速に出来るものなのでしょうか?

【吉田】
実際、リオ五輪でも安価で迅速な仮設展示場をつくったようです。あまりゴージャスに作らなければ、100億程度あれば、そこそこの展示会場は確保できると考えています。

【津田】
しかも、建設期間もそれほど長くなくて、すぐであろうと?

【吉田】最短、1年から1年半位で出来るだろう、という話も聞いています。

【津田】
なるほどね。でもまさに、時間切れが迫ってきているからこそ、政治的な決定が求められるという訳ですね。
問題、非常によく分かりました。この問題に興味を持たれた方は、日本展示会協会のHPも覗いてみていただければ、と思います。吉田さん、どうもありがとうございました。

【吉田】
ありがとうございました。

【津田】
以上、ブレークスルーのコーナーでした。

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