展示会産業とは

展示会とは

展示会は単に商品を展示(陳列)する場ではなく、出展者が商談を通じて商品の販売につなげたり、正確な商品情報を伝えたりする場です。同じ呼称で美術館や博物館で行われている「展覧会」とは異なります。「見本市」と同義語です。

国内では年間約700本の開催件数と推定されています。展示会の無い産業は無いといわれており、毎年増加傾向にあります。

展示会産業とは

展示会は、企業などの「出展者」と、開催当日に訪れる「参加者」が主役ですが、その裏では、展示会を企画し開催する「主催者」、開催場所施設の「展示会場」、そして展示会に関わる様々なモノ・サービスを提供する「支援企業」の三者で成り立っています。支援企業はブース施工、通信/情報処理、スタッフ手配、飲食、宿泊、印刷、運輸、清掃、警備、デザイナー、水道/ガス/電気工事、等々業種が多々にわたっており、その裾野は非常に広い産業です。この三者から構築されている業界団体が「日本展示会協会」です。

展示会/展示会産業の存在意義(平成26年3月発行 経済産業省 「展示会産業概論」より抜粋)

  • 出展者の販路開拓やマーケティングの場:マーケティング・ツールとして

    多くの来場者が集う展示会は、出展者が来場者との商談を通じて商品の販売につなげるとともに、正確な商品情報を来場者に伝える場となります。そのため、出展者側にとっては効率的に販売先(顕在顧客)のケアや新たな販路先(潜在顧客)の開拓を行うことができ、また商品に対する来場者(商品ごとに興味を示す者が限定されるマーケットやターゲット)の感想や意見を直接聞くことができる貴重な手段(マーケティング・ツール)となります。このようなメリットを享受できるのは、展示会ならではと言えます。

  • 「ヒト」「モノ」「情報」の交流促進:マーケティング・コミュニケーションとして

    出展者にとって展示会でのマーケティングは、来場者を対象とするだけでなく、他の出展者も対象となります。多くの出展者が集う展示会では、出展者の間で情報収集や技術交流が行われ、競争を通じた技術開発につなげていきます。このように、「ヒト(出展者)」「モノ(商品や技術)」「情報(消費者動向など)」の交流促進を行うことにより、出展者のイノベーションが図られます。

  • 産業全体の活性化:ビジネス・イノベーションとして

    多様な出展者及び来場者が展示会に参加することにより、基礎技術、商品開発、販路開拓、流通など、それぞれの立場において技術や知識が磨かれていきます。それらが有機的に結びつくことになれば、その産業全体の活性化につながります。

  • 地域資源及び地域魅力の対外発信力の向上:インフォメーションとして

    展示会の開催に合わせて、開催地域が出展者や来場者に対し、地域が有する資源(観光資源、食、店舗、土産商品、アトラクションなど)の情報発信を積極的に行うことにより、周辺環境等の認知度の向上及び商談や購買の支援につながり、開催地域の魅力度が向上することとなります。

  • 地域への経済効果の波及:ディスティネーション・マーケティングとして

    展示会開催地域において、出展者や来場者などの展示会関係者が開催期間中に宿泊、飲食、移動、商品購入などの消費を行うことにより、宿泊業者、飲食業者、交通事業者、物販店舗などの売り上げに寄与します(これを直接効果と言います)。そして、この売上額の一部は各業者の仕入れ(宿泊業者の場合、室内装備品の調達、食材など)に回るため、仕入れ先の売り上げに寄与することとなります。また展示会が開催される地域では、展示会関係者に直接関わる産業だけでなく、間接的に関わる産業にも経済的な効果が及びことになります。さらには、税収効果や雇用効果が生まれ、新たな産業の創出にもつながる可能性があり、地域全体に効果が波及することとなります。

  • 外国からの顧客獲得の手段:ホスピタリティとして

    国際展示会では、国内だけでなく海外からの多くの出展者や来場者が訪れます。そのような人々が開催地域の産業だけでなく、伝統文化などの地域資源や都市に魅力を感じ、滞在期間中のおもてなし対応に感動を憶えることになれば、展示会終了後にビジネスもしくは観光で再度訪れる可能性が高まります。このように、展示会は外国からの顧客獲得のきっかけや手段となりえます。