展示会にキュンです♡ Vol.9 まるで推し活 !? ワインへの愛と大人の文化祭。メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン 富田那渚さんの熱き舞台裏
今回は、ワインとスピリッツの国際専門展示会「ProWine Tokyo(プロワイン東京)」の会場にお邪魔し、主催者である株式会社メッセ・デュッセルドルフ・ジャパンの富田那渚さんにお話を伺いました。
ドイツでの長年のキャリアを経て展示会業界へと導かれた数奇なご縁、そして「まるで推し活!」と語る展示会運営の醍醐味まで、たっぷりとお届けします!
ベルリンの壁から展示会の壁へ。五輪が繋いだ数奇な縁
富田さんとドイツの関わりは、1998年の交換留学が始まりでした。帰国後は通訳・翻訳・通訳案内士として日本で経験を積み、その後再びドイツへ。2001年から2003年までは在ドイツ日本国大使館に勤務し、その後はベルリン自由大学で研究にも打ち込まれていました。
「そのままドイツで就職したかったんです」と語る富田さんですが、当時はリーマン・ショックの直後。ドイツ国内でEU圏外の外国人が就職するのは非常に困難な時代でした。その後帰国し、応用研究機関であるフラウンホーファー研究所に2018年まで勤務したのち、富田さんの運命を大きく変える出来事が起こります。
それが「東京オリンピック」でした。
ドイツナショナルチームの選手たちをおもてなしをするナショナル・ハウスの仕事が決まり、現在のメッセ・デュッセルドルフ・ジャパンに入社。しかし新型コロナウイルスの影響により大会は延期・無観客となり、ナショナル・ハウスの設置自体が見送られることに。想定していた形での業務は実現しませんでした。
それでも選手村に関わる通訳やおもてなしなど、できる範囲でオリンピックに携わる経験を積むことに。
そして、この出来事が思わぬ次の一歩につながります。
「展示会の仕事、やってみない?」という声がかかり、そのまま展示会の世界へ。2022年から「ProWine Tokyo」の運営に深く関わり続けることになりました。人生、何がどう繋がるか本当にわかりません。
80%が海外出展者!世界中が熱視線を送る「プロワイン東京」
富田さんが手掛けるプロワイン東京は、なんと出展者の80%以上が海外からという非常にグローバルな展示会です。
南半球や東欧、アジアからの認知度も年々急上昇しており、出展の問い合わせが殺到しています。しかし、会場の規模を急拡大することが難しく、泣く泣くすべてのご要望にはお応えしきれないという嬉しい悲鳴も。
来場者の多くは日本のインポーター(輸入業者)の方々。会場には、まだ日本に上陸していない「未輸入ワイン」がずらりと並びます。そして夕方になると、あちこちでワイングラスを片手に楽しげに語り合う人たちが増えていく……そんな、大人の熱気に包まれた独自の空間が広がっています。
以前はドイツ仕込みの「ビール派」だった富田さんですが、この展示会に関わるうちに、すっかり「ワイン好き」になったそうです。ご自身もお酒が大好きで、展示会場で出展者の方々と一緒にグラスを傾ける時間も大切にされています。
主催者の気持ちは、まさに「推し活」!
富田さんにとって、この仕事の一番の喜びとは――
「推し活と一緒なんです。会場で皆さんが良い商談をしてくれるのが本当に嬉しくて」
出展者やそのワインに対する思いを大切にしながら、日本市場での新たな出会いを生み出す場をつくる。その姿勢はまさに“推しを応援する”感覚そのものです。
そして、こんな本音も。
「売れすぎて、自分が手に入らなくなるのも困るんですよね(笑)」
この絶妙な距離感、まさに推し活の醍醐味。会場にあふれる熱量の裏には、そんな愛情が詰まっていました。
搬入日にもう寂しい。展示会は永遠の「文化祭」
さらに富田さんは、この仕事の魅力をこう語ります。
「展示会は、多くの人の支えがあって初めて成り立ちます。自分たちだけでは絶対にできないんです」
何もないガランとしたホールに、世界中から人が集まり、ブースが立ち上がり、熱狂の空間が創り出される。その過程を誰よりも近くで見ているからこそ、こんな感情が湧き上がるそうです。
「搬入日に現場を見ていると、『あぁ、これからいよいよ本番なのに、もう終わっちゃうね……』って、なんだか寂しい気持ちになるんです。まるで学生時代の文化祭みたいですよね」
その言葉からは、展示会という「期間限定の祝祭」にかける並々ならぬ情熱が伝わってきました。
ただし、この業界ならではの「職業病」もあるご様子。海外の展示会に足を運んでも、純粋に楽しむというよりは、「動線はどうなっているか」「どんな施工をしているのか」と、ついつい「主催者の目」で見てしまうのだとか。
目指すのは、世界に開かれた唯一無二の展示会
現在、富田さんが目指しているのは、さらにグローバルで価値の高い展示会づくり。
「もっと多くの国から出展していただき、日本で唯一無二の展示会にしていきたいんです」
世界中のつくり手と、日本市場をつなぐ場として――その価値はこれからさらに高まっていきます。
未輸入ワインや出展者への愛、そして展示会という場への情熱。
そんな想いを胸に走り続ける富田さんが、次にどんな“文化祭”を創り出してくれるのか。
これからの富田さんとProWine Tokyoに、目が離せません!